女性が自社でどのくらい活躍しているのかを数値で公表する「女性活躍推進法の改正法」が令和元年5月29日に成立し、令和元年6月5日に公布されました。
今後対象の企業では「女性が活躍してるか」「働きやすい環境にあるか」が数値公表されるため、多くの企業で女性管理職の積極採用が進んだり、配偶者も含め育休の取得率が向上と、プラスになることも多くなると考えられます。
とはいえ現状一部の業界・業種では「女性は一般事務」「結婚したら退職してしまう」という古い考えをもっているところが多いもの事実です。
そこで今回、
- 女性の転職の現状について
- 女性が転職するときに考えなければならないこと
- 年齢別に女性が転職に成功するポイント
についてご紹介します。
これから転職を考えている女性、現在転職活動中の女性はぜひ最後までご覧になってください。
目次
女性の転職状況は改善されつつも「厳しい状況」にある
女性の転職の現状について2つの流れが考えられます。
「女性活躍推進法の改正法」により女性の積極採用は進む
近年は女性の積極採用が進んでおり、今後もますますこの傾向は続いていくと考えられます。
冒頭でも申しましたが、女性活躍推進法は以下の通り女性の雇用を義務づける法律です。
女性活躍推進法に基づき、国・地方公共団体、301人以上の大企業は、(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析、(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表、(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表を行わなければなりません(300人以下の中小企業は努力義務)。
今回の法改正によって情報公表すべき対象が増え、また女性の活躍を推進している優良企業への認定制度が刷新されました。
政府も女性の社会進出を応援しており、女性にとっても働きやすい社会づくりが重要視されています。
現在の日本は少子高齢化が進み、男性だけでなく女性も働き手として大切な存在になってきているという側面があります。
古い業界は女性の雇用について考えが変わらないところも多い
しかし一方で、製造メーカー・建築業・銀行など昔からの体質が残っている業界では「女性は一般職か事務職で働くもの」「女性は結婚・出産で退職する」と考えている企業が多いのも事実です。
男性に負けずにバリバリ働きたい女性が上記のような業界に就職してしまうと、「女性の働き方」のステレオタイプを押し付けられて苦しい思いをしてしまうことになります。
自分のキャリアへの考え方を受け入れてくれる業界・企業を慎重に選ぶようにしましょう。
業界・企業を選ぶポイントについては後述します。
女性が転職する際に考えなければならないポイント
女性も転職しやすい社会になってきているといってもやはり、女性ならではの事情で転職に悩まされることもあります。
女性の転職についてよくある悩みについて紹介します。悩みとなるのは主に以下の2点です。
- 女性はなかなか管理職に就けない
- 企業が結婚・出産を気にする
それぞれについて、以下で詳しく説明します。
古い業界だと管理職が少ないので外資系・ベンチャー企業を狙う
年功序列の昔ながらの日系企業だと、女性に管理職のポストを与えたがらない傾向にあります。
2018年の帝国データバンクの調査によると(参考女性管理職割合は平均7.2%、前年比0.3ポイント上昇(PDF))、女性管理職の割合はわずか7.2%で、女性管理職がいない企業は48.4%にものぼったとのことです。
この数字から見ても、女性の管理職登用が一般的になるのにはまだ時間がかかりそうです。
一方で、ベンチャー企業や新しい事業に取り組んでいる若い企業は男性・女性問わずに柔軟に人材配置をする傾向にあります。本人の希望を重んじ、ある程度の裁量を与えてくれるところが多いので、管理職を目指したい女性におすすめです。
また、外資企業は日系企業よりも女性の管理職登用が進んでいます。外資系企業は結果主義です。結果さえ出せば、男女関係なく管理職のポストに就くことができる会社が多くあります。
外資系企業の場合は管理職ポジションの維持も大変ですが、バリバリ働きたいという女性は転職先の選択肢として外資系企業を入れてみてください。
結婚・出産を気にする企業もあるが大事なのは「自分がどうしたいか」
年代別の女性の転職でも説明したように、結婚・出産を気にする企業が存在するのが現状です。
結婚・出産を理由に女性の採用を踏みとどまる企業も中にはあるのが現状です。
福利厚生がしっかりしている企業は、産休や育休制度に関して募集要項や公式HPに明記しています。
また産休・育休からの復帰率を公開している企業も多数あるので、そのような企業を優先的に受けましょう。
また、化粧品会社など女性社員が多い企業は制度が整っていることが多い傾向にあります。その分女性管理職の割合が高くなっていることも多いので、女性が働きやすい環境になっています。
自分が結婚・出産を気にして転職活動する必要はありません
また転職をする女性本人で結婚・出産を気にしている人がいますが、そんなことを気にする必要はありません。
出産や結婚の予定を聞いてくる企業もあるので、「入社後すぐに結婚・妊娠してしまったらどうしよう…」「結婚・出産を終えてから仕事に就こうかな」と考える女性もいますが、気にしないでください。
仮に入社後すぐに結婚・出産になったら産休を取ればよいのです。
産休は法律で認められている権利なので、取得に対して引け目を感じる必要はありません。
万が一産休とることに嫌がらせをされたり、待遇・条件面を下げられるなんてことがあったら、それも違法ですので、出るところにでてスッパリと辞めて出産後に再度転職活動をはじめましょう。
【労働基準法第65条】
使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
引用 wikibooks
会社や周囲を気にせず、自分のやりたい仕事に就き、自分が生きたいように人生設計をしましょう。
年齢別に女性の転職の成功ポイントを紹介
続いて、女性の転職について20代・30代・40代と年齢別に説明します。
女性ならではの理由が転職のしやすさを左右することもありますが、今ではどの年代でも転職しやすくなっています。
20代女性の転職はポテンシャル採用
20代の女性は家庭を持っている人がそこまで多くなく、男性が転職する場合とほとんど変わりません。
しかし「結婚・出産後も働けるのかどうか」という部分に関して企業は慎重に考えています。
「長く働きたい」という旨を企業に伝えるとよいでしょう。
20代は男女関係なくポテンシャル採用です。「どれだけ長く働いてくれるか」「どれだけ伸びそうか」という部分を企業は最重要視しています。
今後の自分のキャリアのためにも、20代の早いうちに自分のやりたいことを見つけましょう。
未経験職種の転職にチャレンジしたい場合は、25歳までが目安です。
20代後半からでももちろんチャレンジは可能ですが、若ければ若いほどハードルが下がる傾向にあります。
また20代後半は最も募集対象となる求人が増える年代です。
「大企業に行きたい」「外資系企業に転職したい」など、希望があれば20代後半のうちに転職活動を開始すると、良質で豊富な求人から転職先を選ぶことができます。
30代女性の転職は結婚・出産について懸念する会社も
30代女性の転職では今までの経験や実績が重視され、即戦力として期待されます。
20代のうちにどのようなスキルを身につけ、どんな実績を積んできたかどうかで転職の難易度が変わります。
企業によっては出産・結婚について懸念し、敬遠してくることも考えられます。
自分の気持ちを偽ることなくワークライフバランスを尊重してくれる企業を選ぶことが大切です。
30代はキャリアが成熟してきた頃なので、20代後半と同様に転職しやすい年代です。
また管理職に就くのかどうかの選択も30代のうちにしておきましょう。
管理職を目指すなら、女性の管理職の登用に積極的な企業への転職を視野に入れておくことをおすすめします。
40代女性の転職はピンポイントに一致するポジションを
40代の女性の転職は、男性同様狭き門となり求められるレベルが高くなります。
ピンポイントで自分の能力とマッチする企業と出会えるかどうかが転職の成功を左右します。
そう聞くと転職のハードルが高そうに思えますが、雇用形態を問わなければ転職先は見つかりやすくなります。
一度結婚や出産でキャリアを退いた女性も40代になると子育てが落ち着いてくるので、契約社員や派遣社員などで働き始める傾向にあります。
時短制度などを活用して、家事・育児とキャリアを両立することができる企業を選びましょう。
女性の転職について人気職業・職種を紹介
続いては、女性の転職で「人気の職業・職種」について紹介します。
主に以下の4つの職種が女性には人気です。
- 経理・総務
- デザイナー
- 人材コーディネーター
- ウエディングプランナー
女性に人気ということは、活躍している女性が多いということです。その分女性に配慮している企業も多いので、職種・職業を選ぶ際の参考にしてください。
経理・総務
経理や総務といった内勤の仕事は女性から根強い人気を誇っています。
中小企業では総務が社長や役員の秘書的な役割をしたり、来客を迎えたりということが多々あります。
細かな気遣いができる女性に向いているポジションだと言えます
デザイナー
デザイナーも女性に人気があります。女性ならではの感性が評価される仕事で、男性以上に成果を出すことも可能です。
デザイナー職の多くは在宅勤務が可能なので、育児や家事と仕事の両立ができるという点でも女性からの支持が厚い職業です。
人材コーディネーター
人材派遣会社で就職・転職希望者に求人を紹介するのが人材コーディネーターです。
転職・人材コーディネーターは転職希望者の経歴や希望について細かくヒアリングしなければいけません。
「この人にとってどんな求人がベストなのか」ということを本人の思いに共感しながら考えられるのが、女性の強みです。
女性の方が人の気持ちに共感・理解を示しやすいと言われており、人材派遣業界では女性のスタープレーヤーの存在が目立ちます。
ウエディングプランナー
ウエディングプランナーも女性の得意分野である「人の気持ちに寄り添う」ことを存分に活かすことができる仕事です。
結婚は人生の一大イベントであり、「特別なイベントを任せてもらうことができて嬉しい」「できる限り本人たちの希望を叶えたい」と頑張ることができるのが女性だからです。
そのため、女性のウエディングプランナーは顧客からの満足度も高くなっています。
女性の転職について まとめ
女性の転職について考えなければならないこと、解決法、年齢別、そして人気の職業・職種と一挙にご紹介してきました。
社会で活躍する女性が増えており、キャリアウーマンの存在も身近になってきています。
一方で、古い体質の日系企業などでは女性の転職の悩みも尽きません。しかし少子高齢化が進む日本では女性の採用はますます進んでいくと考えられます。
女性が働きやすい労働環境づくりに力を入れる企業も増えていくでしょう。
ベンチャー企業やグローバル企業など、女性が活躍しやすい企業への転職も視野に入れてみてください。
「結婚・出産があるから重要な仕事に就いちゃダメなのかな…」とか「どうせ女性で管理職は難しいし」と引け目を感じること無く、自分のしたい仕事に就いてくださいね。